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2026.09.25
BIM World Paris Reports 2026 『BIM Worldについて』
デジタル建設では、海外建設産業のデジタル化の波を捉えるために各国展示会に出席し最新の情報をキャッチしています。これらの情報を日本市場の皆様と共有することが新しい着想を産むと考え、記事形式での速報をご提供します。今回のシリーズは毎年4月にパリで行われるBIM Worldでの講演の記録です。
第一回は『BIM Worldについて』と題して、BIM Worldに関する国際的な重要性をまとめます。
BIM Worldは、単なる「BIMソフトの展示会」ではなく、建設・不動産・インフラ・FM(Facility Management)のデジタル化を扱う大規模な国際イベントです。特に今回の調査目的であれば、BIM World Parisは「BIMそのもの」よりも、BIMを起点にしてDigital Twin、AI、データスペース、IoT、スマートシティ、DPPなどへ領域が広がっていることを見る場、と捉えると分かりやすいです。
なお、2026年のパリ開催は「BIM World Paris」から正式名称を Digital Twin | BIM World として展開しており、2026年4月1~2日にParis Expo Porte de Versaillesで開催されました。
1. BIM Worldとは何か
BIM Worldの中心にあるのは、「建築・土木・不動産・施設管理を、BIMやデジタル技術によってどう変えるか」というテーマです。
そのため、来場者・出展者はかなり広いです。主に、次のような出展者がセッションでの講演を行ったりブースとして出展しています。
- 建築設計事務所
- エンジニアリング会社
- ゼネコン・建設会社
- インフラ事業者
- 不動産デベロッパー・オーナー
- FM・施設管理会社
- BIM/CADソフトウェア企業
- クラウド・CDE企業
- Digital Twin企業
- AI・データ分析企業
- IoT・Smart Building企業
- 測量・Reality Capture企業
- GIS企業
- Construction Techスタートアップ
- 行政・公共機関
- 大学・研究機関
- 業界団体
つまり、「BIMを作る人」だけではなく、建物・インフラのライフサイクル全体に関係する人が集まるイベントです。BIM World Munichの公式説明でも、対象を「construction, real estate and facility management industriesのdigitalization」(建設産業、不動産と設備管理のDX化)と明確に定義しています。
2. 沿革
BIM Worldの歴史を見るうえでは、現在の中心イベントである BIM World MUNICH が重要です。BIM World MUNICHは2016年にスタートしました。初回は70社以上の出展者、60人の講演者、2,000人以上の参加者を集めました。主催者側も当時から、BIMを「建設業のデジタル化・プロセス最適化を進めるための基盤」と位置づけています。当時のテーマは現在よりかなり「BIMそのもの」に近く、CAD、BIM、BIMオブジェクトやソフトウェア、デジタルによる設計やプロセスの効率化などのテーマが議論されました。
2018年には「BIM Town」というInnovation Areaが設けられました。ここではAR、ドローン、IoT、ロボティクス、AIなどが取り上げられています。つまり、この頃からBIM Worldが単なるBIMソフト展示会ではなく、建設DX全体を扱うイベントへ拡張していったことが分かります。
その後、BIM World MUNICHは規模を拡大し、2026年には10回目の開催となります。
現在は、展示会や国際カンファレンス、スタートアップ向けビジネスブースなどを組み合わせた構成になっており、2026年のMunich開催では8,500人以上の業界関係者、250社以上の出展者、250人以上のスピーカーが予定されています。
したがって、大きな流れとしては次のように開催の趣旨が変わってきました。
BIM → Open BIM → Construction DX → Digital Twin → AI・データ・IoT → Smart Building / Smart City
3. BIM Worldの意義
BIM Worldの重要性は「BIMの最新製品を見ること」よりも、建設産業のデジタル化がどこへ向かっているのかを一か所で見ることにあります。例えば通常の展示会だと、Autodeskといえば、BIMソフト、Bentleyならインフラ、Leicaなら測量などと個別に見ることになります。
しかしBIM Worldでは、設計 → BIM → データ共有 → 施工 → Reality Capture → 現場管理 → FM → Digital Twin → Smart Cityという一連の流れを横断して見ることができます。これは建設業のDXの潮流を捉える上で非常に重要な観点だと考えています。
4. 具体的な出展企業
例えば現在のBIM World Munichの出展者を見てみましょう。Autodesk、Bentley、Trimble、Nemetschek、buildingSMARTなどのBIM・デジタルプラットフォーム系企業がいる一方で、Hilti、Siemens、FAROなど、より「リアルな建設・設備・計測」に近い企業も参加しています。また、次のような異なる領域の企業が出展し、ときには共に同じ場で議論を交わします。
- ACCA Software:BIM・建築・構造・設備等のソフト
- AEC3:BIM情報管理
- AKG:土木・インフラ設計
- AnkerDB:BIMデータ管理
- ProVI:交通・鉄道インフラ
- HEGIAS:BIMとVR
- FARO:3D計測・Reality Capture
- Siemens:Smart Infrastructure
ここがBIM Worldの特徴です。
5. 2026年パリ開催が特に面白かった理由
2026年4月1~2日のParis開催は、従来の「BIM World」から一段進んで、正式にDigital Twin | BIM Worldという名称で開催されました。
会場はParis Expo Porte de Versaillesで、260社以上の出展者、約10,000人のAEC関係者が参加したとされています。そして、2026年の内容を見ると非常に明確な傾向があります。
① Digital Twin
最も大きな変化であり、BIMを「設計時の3Dモデル」として終わらせず、BIM → IoT → GIS → リアルタイムデータ → Digital Twin → 都市・インフラ管理へ発展させることが強く打ち出されました。
例えば「フランスと地域のDigital Twin」のVillageが設置され、14のフランス企業・公的/民間組織による取り組みが紹介されており、都市・地域の開発をシミュレーションし、行政・地域主体が共有できる技術基盤を構築することを大きな目的としています。France 2030の支援も受けています。
② AI
2026年はAIもかなり前面に出ています。例えば、「Generative AI: 建築設計における革命か?」というセッションが組まれ、Autodeskなども参加しています。
さらに、次のような議題も活発に議論されています。
- Generative AI
- AIによる設計
- AIによるデータ活用
- Autonomous AI Agents
- Smart Building
- AIによる施設管理
特に面白いのは、AIが「画像生成」ではなく、BIMデータ・施設データ・都市データをどう扱うかという方向に移っていることです。
③ Data Space / DPP / データ主権
欧州における産業を理解する上で外せないのが、データ主権に関する議論です。実際に、「建設におけるデジタル主権:Data SpaceとDigital Product Passport」というセッションが開催されています。
ここではData Space、Digital Product Passport、建設産業のデータ、データ主権、相互運用性、欧州規制などが議論されています。つまり、「BIMモデルを作りましょう」という段階から、「BIMや製品データを、誰が、どのルールで、どのシステム間で共有するのか」という問題に議論が進んでいます。
④ Open BIM / Interoperability
2026年ParisではbuildingSMART Franceのスペースも設置され、「建設から建物・インフラの運用まで、データをどう流通させるか」が大きなテーマになっています。
特にbuildingSMART FranceのForumには15社以上が参加し、Dataspaceを重点テーマとしていました。さらに、「将来の建設・運用におけるデータフォーマットは何になるのか?」というInteroperabilityのセッションも開催されています。
Autodesk、Dassault Systèmes、buildingSMARTなどが議論しています。
6. 主要な出展者
2026 Parisの出展者を見ると、例えば、
- Autodesk
- Bentley
- ACCA Software
- Allplan
- Arkance
- BIMcollab
- BIMobject
- Bluebeam
- Aucotec
- Gstarsoft
- Leica系企業
- Sopra Steria
- Dassault Systèmes系
- Orisha
- Akila
- VCAD
- NEXT-BIM
などが参加しています。公式出展者一覧にも多数掲載されています。ここで面白いのが、大企業とスタートアップが同じ空間にいることです。
例えばNEXT-BIMは、BIM × Augmented Reality × 現場施工という比較的現場寄りの会社です。2026年ParisではSpie batignollesとの事例を使い、「ARによってBIMを現場で使う」というテーマを発表しています。一方でGstarsoftはCAD/BIM統合やAI機能を展示しています。
デジタル建設では、建設産業のパートナーとして海外の技術導入のための調査を引き受けています。ご要望がある方は弊社ホームページの問い合わせよりご連絡ください。